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COLLECTION

2021 SPRING & SUMMER COLLECTION TRAVELER'S JOURNAL

2020 SPRING & SUMMER COLLECTION TRAVELER'S JOURNAL

ガラスとコンクリートとアスファルトばかりの東京砂漠に、江戸が蜃気楼のように浮かぶ風景を探してみました。特にお気に入りは、両者がシュールに重なり合う不思議な場所。東京に長く住んでいるのに、今回初めて行ったところばかりでした。

廣瀬染工場

「江戸小紋」の伝統を受け継ぐ廣瀬雄一さんは四代目。きりりとした目元は、いきな江戸っ子を思わせます。ヒノキのヘラをちょいとくわえながら、伊勢型紙をミリ単位でずらして刷っていく仕事には、坦々としながら気迫がみなぎります。「点が円になってつながっていく『鮫小紋さめこもん』が一番好きな柄」と言う廣瀬さん。生地に眼を近づけて追っていくと、無限の世界に旅できそうです!

堀口切子

「江戸切子」の三代秀石を名のる堀口徹さんと若い職人さんたち。工房はまるで現代的なラボを思わせます。鉄骨の梁にはTraditional(伝統的)、Authentic(本物の)、Redefined(再定義する)などの理念が書かれていました。手元に強烈な白光ライトを輝かせ、ダイアモンドの粉がついた高速の円盤で、幾何学柄を切り込んでいく姿を見ていると、未来へ旅する工藝のようです。

浜離宮恩賜庭園はまりきゅうおんしていえん

歴代の将軍が鷹狩りをするため、江戸城から舟で遊びにきた御殿が、超高層ビル群に囲まれて今もひっそりと残っています。潮の満ち引きがある海水の池に浮かぶお茶屋で一服すると、気分はすっかりお殿様です!

出世の石段 (愛宕神社)

三代将軍 徳川家光が「誰か石段の上に咲いている梅を馬で取って参れ!」と家来に命じたが、誰も恐れて名のり出ない。そこへ曲垣平九郎という侍が馬で石段を見事に往復しました。「おお!天下一の馬術じゃ」と讃えられ、出世したといいます。実際に階段の下に立ってみると、平九郎の偉業よりも、家光のムチャ振りに背筋が凍りました(笑)。

虎ノ門 金刀比羅宮ことひらぐう

銀色の高層ビルの中庭に、突如現れる古い神社のコントラストに眼を奪われます。「こんぴらさん」といえば四国ですが、ここはかつて讃岐の丸亀藩邸があった場所。注目してほしいのは、立体的な龍や虎が飾られた立派な銅製の鳥居です。文政四年(1821)に町人たちがお金を出し合って作ったもの。刻印された寄進者の名前を指で触れると、それぞれの人生が語りかけてきます。

蕎麦 砂場本店

虎ノ門の「こんぴらさん」から歩いて3分、江戸の三大蕎麦屋(藪、更科、砂場)のひとつです。木造のお店は大正十二年(1923)に建てられて以来、関東大震災も東京大空襲も耐えて登録有形文化財になっています。ざるも上品な味ですが、ふわふわ泡の納豆そばも最高でした!

江戸のミニ富士山 (品川神社 ほか)

旅が自由にできなかった江戸時代。富士山に参詣したい人々がその御利益に与ろうと、街じゅうにミニチュアの富士山(富士塚)を作って登ったそう。現在も都内に30ヶ所以上残っています。途中に五合目、八合目などのかわいい標識もあり、霊峰富士のパワーを充電できます!

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